会社を設立するためには、設立費用の他にもお金が必要になります。
それが資本金です。
会社の基本事項の1つでもあり、必ず資本金を出資しなくてはいけません。
昔は、株式会社を設立するためには最低1,000万円、有限会社を設立するためには最低300万円の資本金が必要でした。
しかし現在は、資本金1円から株式会社を設立できるようになりました。
結論からいうと、資本金1円(極端に安い金額)での会社設立はおすすめできません。
今回のブログでは、資本金1円がおすすめできない理由などお話していきたいと思います。
目次
資本金1円での会社設立がおすすめできない3つの理由
それでは、資本金1円がおすすめできない具体的な理由についてお話していきます。
資本金1円だといきなり借金が必要に
そもそも会社を設立するためには、設立費用として株式会社であれば30万円ほどのお金がかかります。
その他にも、本店所在地となる事務所の賃貸料や、ミーティングのためのカフェ代など、会社設立までにかかったお金は「創立費」として処理されます。
また、会社設立から実際に仕事がスタートするまでの、広告宣伝費や名刺代などは「開業費」として処理されます。
この2つは、まずは繰延資産として仕訳され、決算で償却していくことで最終的に会社の経費になります。
仕訳にするとこんな感じです。
創立費や開業費は、基本的に資本金を財源として支払うことになります。
創立費や開業費を資本金から支払った後の貸借対照表を、図で表すと以下のようになります。
というように、資本金が少なすぎると負債が必ず発生してしまいます。
負債は資本金と違い、必ず返さなければいけないお金になります。
資本金1円だと融資を受けるのも困難
資本金が1円だと借金が必要という話もしましたが、そもそも資本金が1円だと借入自体ができないかもしれません。
金融機関などがお金を貸すか判断する際、最も重要になるのが
ということです。
実績がほとんどない創業間もない会社の場合、金融機関が返済能力を判断するのは事業計画と資本金の金額です。
1円など資本金の金額があまりに少ないと、本気で事業に取り組む気が無いと判断されてしまい、融資を受けることが困難になります。
自分がお金を貸す立場だと想像すれば当然ですね(゜゜)。
資本金1円だと対外的信用が低い
資本金の金額は、対外的な会社の信用度にもなります。
金額が多ければそれだけ会社の信用は増しますし、逆に少なすぎれば怪しまれる可能性もあります。
もちろん事業内容にもよりますが、BtoBビジネスでは取引に支障が出る可能性が高いです。
すぐ倒産しそうだと判断されてしまえば、掛取引ができなかったり、そもそも取引自体断られてしまうかもしれません。
資本金を決める際の5つのポイント
続いては、実際に資本金の金額を決める際に考慮すべきポイントをお話しします。
創業初期の運転資金を見越して決める
本来、会社の経営というのは利益が出て初めて成り立つものです。
事業を営むための費用も、売上で得た収益を財源とするのが基本です。
つまり、創業して利益が出るまでは、資本金を切り崩して経営を行うことになります。
余裕をもって事業をスタートさせるためにも、運転資金3か月~6か月分は資本金として用意しておくことがおすすめです。
融資の目標額から決める
創業融資を受ける場合、自己資金の金額が重要になります。
自己資金とは、資本金を始め事業のために自分で用意したお金のことです。
創業融資として最も一般的な、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、融資を受ける要件の1つに自己資金要件というものが存在します。
具体的には、自己資金の10倍までの融資しか申請できないというものです。(融資限度額3,000万円。)
しかし、実際には10倍満額が融資されることはほとんどなく、自己資金の3倍程度が限度といわれています。
仮に、1,000万円の融資を受けたい場合は、300万円以上の自己資金が必要と考えましょう。
税制的には1,000万円未満がおすすめ
今までは、資本金が少なすぎる問題点についてお話してきました。
しかし、逆に資本金が1,000万円以上(超)になってしまうと、税制面で以下の2つの負担が発生します。
- 資本金1,000万円以上で初年度から消費税の納税義務が発生
- 資本金1,000万円超で法人住民税の均等割りが7万円→18万円に
創業初年度は資金繰りが安定しづらく、税金の負担が増すのはデメリット以外のなにものでもありません。
資本金が多ければその分メリットも多いですが、1,000万円未満に抑えておくように心がけましょう。
許認可が必要な場合は要確認
人材派遣や建設業を営む場合、事業を行うために許認可が必要なことがあります。
許認可の要件によっては、自己資金の最低額が定められているものもあります。
例)
- 一般建設業:500万円
- 特定建設業:2,000万円
- 第一種旅行業:3,000万円
などなど
許認可が必要な場合は、資本金額を決める前に必ず事前に要件を確認しておきましょう。
資本金の平均は300万円前後
会社設立時の資本金の平均額は、およそ300万円といわれています。
特に決め手がない場合は、平均額に合わせて用意するのも1つの手です。
ど真ん中の300万円でなくても、100万円~500万円の間で資本金を決めるのが一番無難かもしれません。
2人以上で設立する場合はそれぞれの出資額に要注意
これは株式会社に限った話ですが、資本金の出資者が2人以上いる場合はそれぞれの出資額に注意しましょう。
株式会社では、出資の割合に応じてその後の権力バランスも決定します。
簡単にいえば、「一番お金を出した人 = 一番権力のある株主」となります。
株式の保有割合によっては、1人が会社の実権全てを握ってしまう可能性もあります。
出資者全員が同じ金額の場合、権力バランスも全く一緒になります。
一見平等で最も良さそうですが、会社の方針などで仲違いが起きてしまった場合、平行線のまま経営がストップするという事態にもなりかねません。
2人以上で会社を設立する場合は、出資前に必ず権力バランスについて話し合っておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
会社の資本金は、設立後の経営を左右する本当に大事なものです。
後々増資をする場合も、それなりに手続きが必要になってしまいます。
間違っても軽い気持ちでの”1円起業”はしないように注意しましょう(゜゜)。
終わり。