会社を辞めて独立するというのは、かなり勇気のいることです。
思い付きと勢いで辞めてしまうというのも1つの手なのかもしれません。
しかし、現実問題として、辞める会社はもちろん、各種関係機関で手続きを行う必要があります。
やらないままという訳にはいきません。
ということで今回のブログでは、会社を辞めて独立する際に必要な手続きと、他にどんな準備をしておくといいか、ということについてお話していきたいと思います。
目次
社会保険関係の3つの手続き
雇用保険の失業給付手続き(独立、再就職が未定の場合)
一般的に、会社に就職すると様々な保険に加入します。
そのうちの1つが雇用保険です。
雇用保険とは、
労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給する制度です。
というように、労働者の失業後の生活を保障するための制度です。(本当は失業の予防的な側面もあるのですが今回は割愛。)
上記のように、勢いで会社を辞めたはいいものの、独立開業の見通しがまだ無いという場合は、雇用保険の基本手当(失業給付)の手続きをしましょう。
手続きをすれば誰でも受給できるというわけではありませんが、受給が決まれば失業中の大きな助けになりますので、必ず手続きするようにしましょう。
一般保険者の基本手当の受給要件
雇用保険の基本手当を受給するためには、以下の2つの要件を全て満たす必要があります。
- 離職後ハローワークで求職の申し込みを行い、就職しようという意思や、就職できるだけの能力があるにもかかわらず、就業に就くことができない「失業の状態」であること。
- 離職した日以前2年間に、被保険者期間が12か月以上あること。
就職できる能力があることも要件になるので、病気やケガ、妊娠などですぐに働けない場合は受給することはできません。
手続きに必要な持ち物
ハローワークで雇用保険の手続き、求職の申し込みを行う場合は、以下の物を持参する必要があります。
- 雇用保険費保険者離職届
- 個人番号の確認できる書類(マイナンバーカードなど)
- 身元が確認できる書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 最近撮った写真2枚(縦3.0cm、横2.5cm)
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
手続き後、上記の受給要件の確認と離職理由の判定がなされ、受給資格の決定がなされます。
手続きの具体的な流れについては、「ハローワークインターネットサービス 雇用保険手続きのご案内」を参照ください。
受給期間
雇用保険は、原則として、離職した日の翌日から1年間が受給期間となります。
ただし、その間に病気やケガ、妊娠などの理由で、引き続き30日以上働くことができなくなった場合は、働けなくなった日数だけ受給期間が延長できます。(最長3年間)
健康保険から国民健康保険へ加入
会社から退職したら、会社で加入していた健康保険から、国民健康保険へ加入しなおさなければいけません。
もちろん、自分で手続きを行います。
手続きは、自分の住所地の市町村役場で行います。手続きで必要な書類等は、各自治体にご確認ください。
今回は、東京都北区(北区のホームページはコチラ)についてみていきます。
手続きの詳細は以下の通りです。
手続き場所 | 北区国保資格係、王子区民事務所、赤羽区民事務所、滝野川区民事務所のいずれか |
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期限 | 退職した日の翌日から14日以内 |
必要書類 | ・健康保険資格喪失証明書や退職日が確認できる書類
・(マイナンバーカードや運転免許証などの身分証明書) |
厚生年金から国民年金へ加入
健康保険から国民健康保険に加入しなおしたのと同様に、国民年金への加入手続きを行います。
こちらも同じく住所地の市町村役場で手続きを行います。国民健康保険の手続きとあわせてやっちゃいましょう。(詳細は各自治体にご確認ください。)
東京都北区について、手続きの詳細は以下の通りです。
手続き場所 | 北区国民年金係、区民事務所、北年金事務所のいずれか |
---|---|
期限 | 退職した日の翌日から14日以内 |
必要書類 | ・年金手帳
・退職証明書など退職日が確認できる書類 |
税金関係の4つの手続き
住民税の精算
会社員の方の多くは、毎月の給与から差し引かれる形で、去年の所得に対する住民税を支払っています(特別徴収)。
独立後の住民税については、6月・8月・10月・1月の年4回に分けて自分で支払いを行うことになります(普通徴収)。
会社を年度の途中で退職する場合、その年の住民税の残額について、以下の2つの支払い方法を選択することができます。
- 普通徴収によって、退職後自分で納付する方法(※)。
- 残額を退職前の最後の給与から一括で徴収して納付する方法。
(※)9月に退職した場合、10月と1月の2回で残額を納付
市区町村によって方法が異なることがあるので、退職前に会社や自治体に必ず確認するようにしましょう。
会社から届いた源泉徴収票は大切に保管
普通の会社であれば、退職して1、2か月すると源泉徴収票が送られてきます。普通の会社であれば。
もし、退職したのと同年度に事業を開始する場合は、確定申告でこの源泉徴収票を一緒に添付する必要があります。
貰ってなかったでは済まないので、辞める前に会社に改めて確認しておきましょう。一応。
開業届を税務署に提出
会社を退職し、実際にフリーランスや個人事業主として開業したら、開業日から1か月以内に開業届を税務署に提出します。(でも、確定申告をちゃんとすれば出してなくてもあまり問題ありません。実は。)
開業届は、国税庁ホームページ「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」よりダウンロードすることができます。
青色申告承認申請書を税務署に提出
開業届の提出と一緒に、青色申告承認申請書も税務署に提出しましょう。
この書類を、開業日から2か月以内に税務署に提出しないと、青色申告の適用を受けることはできません。必ず提出しましょう。開業届よりも全然重要です。
青色申告は、日々の経理で正確な帳簿書類を作成することで、様々な税務的優遇を受けることができる制度です。
するとしないじゃ税金の金額が全然違います。青色申告めちゃ大事(゜゜)。
青色申告承認申請書は、国税庁ホームページ「所得税の青色申告承認申請手続」よりダウンロードすることができます。
ただ、税務署にも書類が置いてあるので、めんどくさければ手ぶらで税務所に行っちゃいましょう。
独立前にやっておいたほうがいい5つの準備
事業用の預金口座の開設
まず、普段プライベートで使っている預金口座とは別に、事業専用の預金口座を開設します。
事業専用の口座を作ることで、事業資金の公私混同を避けることができます。
また、預金通帳はそのまま帳簿書類として使うことができるので、お金の出入りをできるだけ1つの口座にまとめることで、確定申告がめっちゃ楽になります。
上記の青色申告を少ない手間で行うためには必須です。
独立後のゴタゴタで忘れないために、会社に勤めている間に作っておきましょう。
事業用のクレジットカードの作成
銀行口座に加えて、出来ることなら事業専用のクレジットカードも作っておきましょう。
経費の支払いなど、できるだけ事業用のカードで行うことで、細かいお金の動きも上記で開設した口座にまとめることができます。
独立すると会社員に比べて信用面で不利になるので、もしかしたら審査に通らない可能性もあるそうです。
こちらも会社に勤務しているうちに作っておくことをおすすめします。
屋号を考える
屋号というのは、事業やお店の名前のことです。
個人事業主なので、自分の個人名でもなんら問題ありませんが、美容院や飲食店などを開業する場合、屋号についても考えておかなければいけません。
簡単そうですが、考え出すと意外に大変なので、納得いくまでゆっくり考えておきましょう。
ホームページやブログの開設
独立前にあらかじめ顧客を確保できている方もいるでしょうが、多くの方は独立して初めて集客を行うことになると思います。
独立してお客さんが来なければ、最悪収入0という事態にもなりかねません。
できるだけ早くから、ホームページやブログを開設して、事業の下準備を開始しておきましょう。
生命保険等への加入も要検討
独立してフリーランスや個人事業主になってら、万が一の事態にも自分で備えなければいけません。
自分や家族の生活保障のためにも、生命保険等への加入も検討しましょう。
保険によっては、所得税の控除項目である生命保険料控除に該当するものもあるので、確定申告の際は忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
なんだかんだ色々と書きましたが、基本的にどの手続きも簡単でそこまで時間はかかりません。
事務手続きは誰もが避けて通りたい面倒なことですが、後回しにせず確実に終わらせるようにしましょう。
終わり。