こんにちは、カミノです。
前回、前々回に続き3回目の税務調査についての記事となります。
前回までの2回で税務調査の流れや種類など、「税務調査とは」ということについてお話ししてきました。
なんとなく概要は把握できたでしょうか?
やはり、一番気になるのは「私のとこに税務調査は来そうなの?どうなの?」ということだと思います。
ということで今回は、税務調査が来やすい個人事業主・フリーランスの特徴と、税務署から連絡が来た時の税理士の選び方についてお話していきます。
目次
個人事業に対する税務調査の実態(東京都)
まず、個人事業やフリーランスに対して、一体どれだけ税務調査が行われているのかという実態を見ていきます。
参考:東京国税局「平成29年度における所得税及び消費税調査等の状況について」
所得税についての税務調査件数(東京都)
平成29事務年度に、東京都の事業者を対象に行われた税務調査の件数は以下の表のとおりです。
調査の種類それぞれは以下のようなイメージです。
- 特別・一般調査 → 不正の疑い、ガッツリ調査
- 着眼調査 → 申告漏れ等、軽めに調査
- 簡易な接触 → 細かいミス、電話などでお知らせ
合計17万6千件のうち、約11万件がなんらかの申告間違いが指摘されています。
17万と聞くととても多そうですが、これのほとんどは簡易的な接触で、いわゆる普通の税務調査は2万件弱です。
ですので、全体から見るとわすが数%程度ということになります。
税務調査で判明した申告漏れ所得金額トップ10
税務調査によって、申告漏れ所得金額も判明しており、業種別のランキングが以下のようになります。(たくさん脱税してた業種ランキング。)
- キャバレー
- 風俗業
- 漫画家
- スタンドバー
- 宅配
- システムエンジニア
- キャバクラ
- 冷暖房設備工事
- 特定貨物自動車運送
- ダンプ運送
脱税の金額が高かった業種ということは、裏を返せば、疑われやすい業種ということになります。
なんとなく税務調査の傾向が見えてきますね。
税務調査が来やすい個人事業主・フリーランスの特徴8選
それでは、上記の実態を踏まえた上で、税務調査が来やすい個人事業の特徴をご紹介していきます。
“夜”のお仕事
まずは、上記のランキングから税務調査が来やすい業種をご紹介していきます。
その中でも最も警戒したいのが、ランキング上位に4つも入っている”夜”のお仕事達です。
風俗やキャバクラはもちろんですが、スナックやバーなども疑われやすい事業ですので注意しましょう。
1人親方
続いてランキングから注意したいのは「1人親方」です。
運送業や内装業、建設業などの業種は、傾向として叩き上げの社長や親方が多く、申告も白色申告だという方がほとんどです。
つまり、いわゆるドンブリ勘定で申告されていることがほとんどで、税務署は常にマークしているといっても過言ではありません。
過去の申告漏れランキングでも、常に複数が上位に入っているのもその証拠といえます。
ネット系フリーランス
ランキングから注意したい最後は、ネット系のフリーランスです。
上記のランキングにもシステムエンジニア(+漫画家)が入っています。
ここ最近エンジニアがランクインし始めたので、完全に時代の流れといえるでしょう。
ネットビジネスは基本的に利益率が高く、課税しやすいというのも理由かもしれません。
また、今後はより一層税務署の注目も上がることが予想されます。
開業から数年経過している
ここからは、業種に関係ない特徴になります。
まず、独立開業から複数年(およそ5年)以上経過していると、税務調査が来る可能性が高まってきます。
税務調査が来ると、少なくとも3年分は遡って誤りを正されることになります。
当たり前ですが、修正する年数が多ければそれだけ追徴税額も多くなります。
税務署側の立場で考えてみると納得の理由ですね。
売上1,000万円弱をキープしている
具体的な金額でいうと、売上が1,000万円に近付いてきたら注意が必要です。
なぜかというと、1年間の売上金額が1,000万円を超えると、2年後に消費税の納税義務が発生するからです。
それが理由で、売上を1,000万円弱にあえて抑えているという個人事業主の方も多いかと思います。
しかし、この時に売上の計上基準が間違っていたりすると、税務調査によって消費税申告の必要性を指摘されてしまうことになります。
実際に、税務調査によって過去分の消費税を支払うことになったというケースは多いので、該当しそうな方は注意が必要です。
同業他社に比べて極端に経費が多い
毎年たくさんの人が確定申告を行いますが、それらのデータは全て「国税総合管理システム」という所に保存されています。
それらをもとに、業種ごとの所得金額の統計や売上・費用の平均値などが算出されています。
つまり、同業他社のデータと比べて”普通じゃない”ことはすぐに疑われることになります。
所得を減らすためにグレーな経費を必要以上に計上していたりすると、税務署にマークされやすくなるので注意しましょう。
顧問税理士がいない
これは他の特徴に比べると影響は少ないですが、顧問税理士の有無も多少作用してきます。
ご存知の方も多いと思いますが、納税者の代わりに税理士が申告を行うと、申告書に税理士のサインが追加されます。
税務署側も申告書を見れば、顧問税理士の有無がすぐに分かります。
実際に税務調査が来た場合も、顧問税理士が立ち会えるかどうかで結果は大きく変わってきます。
ズバリ脱税・不正をしている
そもそも論ですが、実際に故意に脱税や不正を行っている(行っていた)という場合は要注意です。
これまでお話ししたように、様々な要因やきっかけで脱税や不正は疑われます。
そして、絶対いつかバレます。
また、国税庁のホームページには密告用のページもあったりするので、人づてにバレてしまう可能性もあります。
悪いことをして得すると、ついつい誰かに喋りたくなってしまいますが、壁に耳あり障子に目ありです。
税務調査の連絡が来た時の税理士選び
それでは最後に、実際に税務調査の連絡が来てしまった時の、税理士の選び方についてお話しします。
どの事務所だろうと税理士は頼んだほうが絶対にいい
まず頼むかどうかの結論からいうと、連絡が来てしまってからでも税理士に立ち合いを依頼したほうがいいです。
仮に、自分1人で税務調査に臨んだ場合、税務署主導の推計によって修正が行われてしまう可能性があります。
帳簿の正確性や調査官の人間性にもよりますが、当日の緊張と焦りでそうなってしまう可能性は十分考えられます。
連絡が来て急遽税理士に依頼した場合では、対策自体は多く望めないのが現状ですが、最低限調査官の言いなりという事態は避けることができます。
一番は税務調査専門の税理士事務所への依頼
何事においてもそうですが、税務調査も対応するには経験が重要になります。
税理士であれば、税務調査の経験があるのは当たり前ですが、その経験というのは基本的には顧問先に対する税務調査への対応です。
駆け込みで税務調査を依頼したい場合は、税務調査専門の事務所に依頼することが一番確実になります。
依頼する値段は高額になってしまうかと思いますが、普通の事務所に比べ経験値が段違いなので、依頼額以上に追徴税額を抑えることができる可能性もありますし、なにより手続き全体をスムーズに終わらせることができます。
ネットで調べれば、確実に複数の税務調査専門という事務所が出てくると思いますので、まずその中から事務所を検討してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
税務調査の対応で理想的なのは、顧問税理士がいて事前にしっかりとコミュニケーションが取れている状態です。
今回ご紹介した特徴に該当したという方は、税務調査の連絡が来る前に、税理士への依頼を検討してみることがおすすめです。
終わり。