こんにちは、カミノです。
前回のブログで、税務調査の具体的な流れについてお話ししました。
そこでお話ししたのは、「一般調査」といわれる税務調査の中でも最もポピュラーな調査の形でした。
しかし、税務調査には他にも複数の種類が存在します。
映画「マルサの女」などでも有名な「強制捜査」もその中の1つです。
今回のブログでは、前回お話しした「一般調査」に加え、税務調査にはどんな種類があるかお話していきたいと思います。
税務調査の概要
初めに、税務調査の概要について簡潔にお話していきます。
税務調査とは
税務調査とは、税務署などの徴税機関が納税者の申告内容や納税額の正誤を確認し、誤りがある場合は正しい申告への修正・追徴額の納税を求める、一連の調査手続きのことを言います。
日本の国税は、原則として申告納税制度による自己申告となっています。
そのため、一歩間違えれば不正や虚偽の申告が横行する可能性があり、それらを抑制し納税の公平性を保つために税務調査が行われています。
調査対象の選定方法
税務調査は、個人・法人を問わず誰でも調査の対象となる可能性があります。
調査先の選定は以下のような要件から総合的に判断されます。
- 国税庁のデータベースに蓄積された過去の申告内容
- 各種資料や提供によって得られた情報
- 業種や業態
- 売上や事業規模
これらの要件を踏まえた上で、最終的に国税調査官によって選定されます。
ランダムといわれたりもしますが、ある程度の傾向は存在することが分かりますね。
税務調査は大きく分けて2種類
税務調査の種類は大きく2つに分けられます。
強制調査
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国税局査察部(以下マルサ)が、裁判所の令状をもって”強制”的に行う調査のことをいいます。
マルサは関係資料を押収する権限を有しており、対象となった納税者は調査を拒絶することができません。
調査によって、脱税等の違法行為が認められれば告発され、刑事事件として処理されることになります。
ただし、強制捜査が行われるのは脱税額が1億円を超え、脱税の手口が故意で悪質な場合に限り実施されます。
普通の人がされることはないので安心してください。
任意調査
一般的な税務調査のほとんどはこの任意調査になります。
任意調査は、調査対象となる納税者の同意の上で行われる調査のことをいいます。
強制調査とは違い、納税者の都合に合わせて日程調整や税理士の立ち合いなどを行うことができます。
ただし、”任意”といっても「調査を拒絶する」という選択肢はないので注意しましょう。
こういった背景から、間接強制調査なんて呼ばれたりもします。
任意調査はさらに3種類
上記の任意調査はさらに細かく3つの種類が存在します。
一般調査
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最も多いのがこの一般調査です。
前回のブログでもお話ししましたが、一番の特徴は事前に調査の旨が通知されるという点です。
調査日の調整や税理士の立ち合いなど、基本的に事前通知を受けてから準備することができます。
現況調査
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一般調査とは違い、事前の通知がなく突然調査にやってくるのが特徴です。
その特性から、抜き打ち調査とも呼ばれます。
現況調査は現金の隠蔽などを防ぐことが目的なので、美容院や飲食店のように現金商売を生業とする事業者が対象になります。
抜き打ち調査という名前の通り、常習的な所得の隠蔽などが疑われて行われる調査になります。
ただし、こちらも任意調査なので、顧問税理士がいる場合は税理士の立ち合いを求めることが可能です。
特別調査
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事業規模が大きい場合や、脱税の金額が大きく不正な申告が多いと判断された場合に行われる調査です。
任意調査の中でも最も強制調査に近い調査で、現況調査と同じく基本的に事前通知はありません。
特別調査は、一般調査の倍以上の日数と人数をかけて、細部まで調査されることになります。
過去複数年に渡って徹底的に調査されるので、追徴税額がとても高額になる場合がほとんどで、事業にとって大打撃となります。
【補足】実際の調査方法3種類
上記でご紹介したのが「税務調査」の種類になります。
続いては、上記の各調査で実際に行われる調査方法についてお話していきます。
実地調査
まず行われるのが実地調査です。
納税者の会社や店舗などの”実地”に調査官が出向き、帳簿書類の調査や「質問検査」が行われます。
名前の通りですね。
ちなみに、この時の質問検査を黙秘することはできず、嘘をついたりした場合は罰則があります。
銀行調査
こちらも名前の通り、納税者の資産状況や取引状況を把握するために銀行口座が調査されます。
会社や事業用の口座だけでなく、社長個人の口座なども調査されます。
反面調査
納税者の取引状況を調べるために、取引先の調査を行うことをいいます。
取引先について反面調査を受ける場合は、調査対象となる納税者に関する取引について調査されます。
通常の税務調査よりもボリュームは小さくなりますが、こちらも調査を拒絶することはできません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
前回に続き税務調査についての記事となりました。
税務調査によって脱税がバレれば、多額の追徴税を支払うことになり、金額によっては事業の存続を揺るがす事態にもなりかねません。
少しの間違いは誰にでもあることですが、故意の脱税や不正は絶対にやめましょう。
終わり。