グローバル化が進む昨今、2020年の東京オリンピックまであと1年となりました。
2013年の東京オリンピック開催決定以後、日本を訪れる「訪日観光客」の数は年々増加し、2020年には年間4,000万人を突破するともいわれています。
今後さらなる拡大が見込まれるインバウンド市場ですが、その裏でコッソリと、ある国税制度が開始されました。
それが、出国税(国際観光旅客税)です。
簡潔に言ってしまうと、日本から出国する際に1,000円が徴収され、航空会社経由で納税されるというものです。
2019年1月7日より開始されました。
今回のブログでは、出国税の詳細や、制度導入によって予想される税収がいくらになるのか、ということについてお話していきたいと思います。
出国税とは
出国税の概要
出国税とは、その名の通り日本から外国に出国する際に課せられる税金で、出国1人1回につき1,000円徴収されます。
つまり、家族4人で海外旅行をする場合、合計で4,000円がかかります。
チケット代金等に上乗せされる形で徴収されるため、自分で納税を行う必要はありません。
また、手荷物分の座席を確保するなどの理由で、1人で2席分の航空券を購入した場合は、1人分の1,000円のみ支払うことになります。
出国税が非課税になる人
日本人だろうが、外国人観光客だろうが課税される出国税ですが、以下のいずれかに該当する人は出国税が非課税になります。
- 船舶または航空機の乗組員
- 強制退去者等公用船または公用機(政府専用機等)により出国する者
- 乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者)
- 外国間を航行中に、天候その他の理由により本邦に緊急着陸等した者
- 本邦から出国したが、天候その他の理由により本邦に帰ってきた者
- 2歳未満の者
- 本邦に派遣された外交官等
これらのいずれかに該当する人は、出国税が非課税になります。
まぁつまり、日本から海外旅行をする場合は、大人も子供もほとんど課税されるということですね。
1,000円と聞けば安いように感じますが、家族で年に数回海外に行くような場合は、合計すると結構な金額になりそうです。
出国税の使い道は?
出国税は、日本が観光先進国となるための、観光基盤の拡充・強化を図るための財源として使用されます。
具体的には、以下のような使い道になるようです。
- 出入国手続きの時間短縮のための設備投資(自動チェックイン機、顔認証ゲート等)
- 訪日観光客誘致のためのプロモーション費用
- 観光資源の整備費用(観光地の多言語解説等)
上記でも少しお話したように、東京でのオリンピック開催が決定した2013年から、訪日観光客の数は年々増加しています。
この訪日観光客の増加を、オリンピックバブルで終わらせないためにも、税収強化によってインバウンド市場の活性化を図る見込みが考えられます。
出国税導入によって見込める年間の税収
それでは、出国税導入によってどれだけの税収が見込めるのか、ということについて考えていきたいと思います。
まず、以下のグラフをご覧ください。
このグラフは、日本政府観光局の「月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)」をもとにした、年間の出国者数を表したグラフです。
この2017年のデータから出国税による税収を計算すると、約466億円の税収となります。
2017年出国者の合計46,580,365人 × 1,000円
= 46,580,365,000円
≒ 466億円
さらに、上記のグラフに2018年と2019年3月までの訪日観光客数を加えると、以下のようになります。
ご覧のように、訪日観光客数は増加傾向にあるので、2019年の出国税による税収は510億円程度に上ると予想されます。
税収全体に占める出国税(見込み)の割合
上記のように、出国税の導入によって年間約500億円の税収が見込めます。
では、税収500億円というのが一体どれほどのものなのか見てみましょう。
以下の図をご覧ください。
これは、財務省が公表している年間の税収の内訳です。
合計がなんと103兆1,506億円です。
先ほどの出国税の税収がどれくらいの割合を占めるか計算してみましょう。
出国税収入500億円 / 税収合計103兆1,506億円 × 100
= 0.04847282
≒ 0.048%
というように、税収全体から考えると0.05%もない計算になります。
ほぼ誤差ですね。
一方の消費税は、税収全体の17%を占めており、10%に増税したとすると、単純計算で約4兆4,000億円税収が増加すると考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
2019年1月7日より開始された出国税です。
正直、海外旅行をしない限り関係ない税金ですが、今後同じような形で他の税制度が始まることも十分に考えられます。
どんな税金が自分に関係あるのか、日々アンテナを張っておくように心がけましょう。
終わり。