税金対策や規模拡大など、個人事業から会社を設立して、法人成りをお考えの方も多いと思います。
会社設立には、節税面などで様々なメリットがあります。
しかし同時に、事務手続きの複雑化や経営上のリスク増など、デメリットも多く発生します。
できるだけ倒産のリスクを減らすためにも、会社設立の段階から失敗には細心の注意を払うことが必要です。
今回のブログでは、会社設立の際に起こりやすい「失敗」について、よくある7つをご紹介していきたいと思います。
目次
失敗1|資本金1円で設立しちゃう
1つ目のよくある失敗が、資本金1円で会社を設立してしまうことです。
2006年の会社法の改正により、それまで株式会社設立に1,000万円以上必要だった資本金が、資本金1円から株式会社を設立できるようになりました。
それにより、「1円起業」なんて言葉が生まれるほど、起業が身近なものとなりました。
しかし、資本金1円での会社設立はたくさんのデメリットを伴うことになります。
- いきなり借入が必要
- 融資を受けるのが困難
- 対外的信用も相当低い
というようなデメリットが必ず発生しますので、資本金の金額設定は十分注意しましょう。
失敗2|友達と同じ金額ずつ出資する
正直、起業というのはとても勇気がいる行為です。
失敗のリスクはもちろん、会社員時代とは立場も責任も大きく変わります。
そんな不安を解消する意味でも、友達と一緒に起業するという人は多いと思います。
しかしこの時に、友達とそれぞれ同じ金額を出資してしまうと、失敗するリスクが一気に増えます。
株式会社の場合、出資額の割合によって経営の権限が決まります。
出資額が同額で権力も同等となってしまった場合、仮に、意見が対立した時に会社の経営がストップするという事態に陥ります。
「船頭多くして船山に上る」という言葉の通り、会社設立前にリーダーを必ず決めましょう。
失敗3|商号を調査せずにパンフレット等を作る
会社設立後すぐに動き出したい人にとって、設立中の事業の事前準備も非常に重要になります。
特に、名刺やパンフレットなどの営業ツールは、出来るだけ早く手元に用意しておきたいと思います。
しかし、この時に注意したいのが商号調査です。
極端な例ですが、同じオフィスビル内などですでに使われている商号は、そもそも登記することができません。
また、場所は違うとしても、全く同じ商号の会社がすでにあった場合、事業にとってマイナスなのは間違いありません。
失敗4|事業目的が少なすぎてすぐ変更するハメに
会社というのは原則として、事業目的に記載されていない事業を行うことができません。
ですので、設立後に行う事業を目的に定めておく必要があります。
しかし、会社を経営していているうちに、新たな事業を開始するというのはよく起こりえます。
設立登記の際に定めた事業目的が少なすぎると、設立後思わぬ形で目的の変更登記が必要になるかもしれません。
その場合、変登記として3万円の登録免許税が必要になってしまいます。
事業目的を決める際は、将来的な会社の発展も多少考慮するように心がけましょう。
失敗5|決算と繁盛期が被ってしまう
個人事業主の場合、全員漏れなく1月1日~12月31日が事業年度、2月16日~3月15日が確定申告の期間になります。
しかし、会社は自由に事業年度(決算期)を決めることができます。
(例:事業年度4月1日~3月31日、申告期限5月末まで)
ご存知の通り、決算はとても大変です。
もし事業年度を適当に決めて、決算と会社の繁盛期が重なってしまった場合、大変なんてもんじゃありません。
消費税の免税期間などとの兼ね合いもありますが、できるだけ余裕をもって決算を迎えられるように事業年度を決めましょう。
失敗6|個人事業の廃業届を出していない
これは失敗というより、忘れやすいポイントですが、法人成りをして個人事業を廃業する場合は、個人事業の廃業届を税務署に提出する必要があります。
廃業の際に税務署に提出する主な書類は以下の通りです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 事業廃止届出書(消費税の)
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
原則として、廃業から1か月以内に提出する必要があります。
失敗7|法人成りした年の確定申告を忘れてしまう
1年の途中で法人成りをした場合、1月1日~個人事業の廃業日までの所得を確定申告しなければいけません。
確定申告の期限は、変わらず3月15日までとなります。
また、設立した会社から役員報酬を受け取っている場合は、個人事業の分の所得と合わせて確定申告します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
会社設立を急いでいる場合など、上記のようにミスを犯してしまう可能性は高まります。
もしお金に余裕があれば、法人成りというタイミングで会社設立は司法書士、その後の税務の手続きは税理士というように、専門家に依頼してしまうのもおすすめです。
終わり。