会社設立や法人成りなど、このブログでも何度かお話してきました。
そんな会社についてですが、実は株式会社以外にもたくさんの種類の会社が存在します。
あまり目にする機会がないので、知らない人のほうが多いかと思いますが。
しかし、場合によっては、株式会社以外の会社を設立したほうがいい、ということもあります。
ということで今回は、株式会社以外の会社の種類についてお話していきたいと思います。
会社の種類一覧
まず初めに、今回お話しする各会社について、ザックリと一覧にしてご紹介します。
以下の図をご覧ください。
フリーランスや個人事業主から法人成りする場合は、下の営利法人を設立するのが一般的です。
なかでも、赤文字の株式会社と合同会社の2つが、現在設立件数の多い二大巨頭となっています。要チェックです(゜゜)。
株式会社
株式会社は、株式を発行することで資金を集め、その出資をした株主に対して利益の一部を分配します。
実際に普段の会社経営を行うのは取締役などの役員ですが、会社の所有権は株主にあり、経営の意思決定権なども株主が持つことになります。
図のように、株式会社では、実際に会社を経営する役員ではなく、お金を出した株主が最も権力を持つことになります。(中小企業では株主=役員の場合がほとんど。)
また、株主同士でも、保有する株数によって権力は異なり、その会社の株を一番持っている「筆頭株主」が一番権力を持つことになります。
持分会社
株式会社とは違い、役員や株主がないのが持分会社の特徴です。
出資を行った人が株主ではなく「社員」となり、経営の意思決定や利益分配など、会社の定款に定めることで自由に行うことができます。(何も定めがなければ「社員」による多数決で決めることに。)
合同会社(LLC)
合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考にした会社で、日本版LLCともいわれます。
持分会社の3つの中では、最も株式会社に近い会社形態になります。
まだまだ社会的認知度は低い合同会社ですが、株式会社に比べて設立費用が安いなどの理由で、設立件数は年々増えてきています。
株式会社同様の節税対策が行えるので、フリーランスやアフィリエイターの方など、自分1人の会社を設立する場合は、合同会社もおすすめです。
合名会社
株式会社の株主と、合同会社の社員の出資者責任は有限責任です。
しかし、この合名会社の出資者である社員は、無限責任を負うことになります。
有限責任と無限責任とは、以下の図のようなイメージです。
有限責任は自分が出資した範囲内で負債責任を負うのに対して、無限責任は出資者で負債全額の責任を負うことになります。
はい。そうです。
この無限責任はめっちゃリスクがあります(゜゜)。
合同会社が設立できる今となっては、合名会社をあえて設立するメリットは全くありません。
ちなみに、合名会社と後述する合資会社では財産による出資以外にも、労務や信用による出資が認められています。
- 財産出資:金銭や現物での出資
- 労務出資:労働の提供という出資
- 信用出資:自分の「信用」を会社に利用させるという出資
株式会社と合同会社は財産出資のみとなっています。
合資会社
合名会社が無限責任社員のみで構成されるのに対し、合資会社は無限責任社員と有限責任社員によって構成される会社になります。
無限責任社員は労務・信用での出資も認められていますが、有限責任社員は財産出資のみとなっています。
合名会社同様、あえて設立するメリットは全くありませんので無視していただいて結構です。
非営利法人
”非”営利といっても、「利益をあげない法人」という訳ではなく、会社の構成員に対して利益分配を目的としない会社のことをいいます。
一般社団法人
非営利法人の中で、人(社員)が集まって法人格を取得できるのが一般社団法人です。
人(社員)が集まって初めて法人となるので、設立には最低でも2人以上(社員は法人でも可)が必要です。
一般社団法人は、非営利さえ守っていれば利益を上げることを目的としても問題ありません。
設立も比較的簡単にできるので、医療系学会や資格認定機関、介護事業など、様々な用途で設立されています。
私が勉強している中小企業診断士の資格試験も、「一般社団法人 中小企業診断協会」が実施しています。
また、一般社団法人を設立後、都道府県または内閣府に公益認定申請を行って許可が下りれば、「公益社団法人」になることができます。
公益社団法人は、税制優遇などのメリットも多い一方、監督官庁の監督を受けたりと縛りも多くなります。
一般財団法人
一般社団法人が「人」が集まって法人化するのに対し、一般財団法人は「財産」に対して法人格が与えられます。
設立のためには財産(300万円以上)が必要であり、拠出された財産を一定の目的のために利用します。
例としては、美術館やスポーツ連盟などがあります。
こちらも、一般財団法人を設立後、国または都道府県知事に公益認定申請をして許可が下りれば、「公益財団法人」になることができます。
NPO法人
NPO法人とは、特定非営利活動法人ともいわれ、不特定多数のものの利益に寄与することを目的とする活動を行う法人です。
特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動のことです。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
設立のためには、「特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること」や「10人以上の社員を有するものであること」などの要件を満たしたうえで、申請書を所轄庁に提出し認証を受ける必要があります。
上記の一般社団法人や一般財団法人に比べて、設立の難易度は高めです。
NPO法人についてもっと詳しく知りたい場合は。「内閣府 NPOホームページ」をご参考ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
一度会社を作ってしまうと、変更や解散をするにも様々な手続きが必要になります。
作った後に後悔しないためにも、会社設立の際は、自分や事業に合った法人形態を選ぶようにしましょう。
終わり。