前回のブログで、事業計画書を作るメリットについてお話させていただきました。
仮に、融資が必要ない場合であっても、事業計画書を作ることで様々なメリットを得ることができます。
とういうように、作るにしてもなにをどう作ればいいか分からないという方も多いともいます。
ということで今回のブログでは、自分で事業計画書を作る際の記載項目とポイントについて解説していきたいと思います。
目次
事業計画書に記載すべき13項目
そもそも、事業計画書に決まった形式はありません。
そのため、事業計画を分かりやすく伝えるための最適な記載項目を選定する必要があります。
今回は、どんな業種においても「とりあえずこれさえ押さえておけば」という13項目について、プレゼンを想定した架空の見本とともに解説していきます。
その1|会社(事業)概要
初めに、会社概要を簡潔に記載します。
これが、いわゆる自己紹介となります。
見本の記載事項以外にも、「経営理念」や「代表者の経歴」などがあれば記載するようにしましょう。
ただし、あまり多くなり過ぎないように注意が必要です。
その2|事業コンセプトとビジョン
続いて、事業コンセプトと事業の将来的なビジョンを記載します。
事業コンセプトとは、「誰に・何を・どのように」というように、事業の具体的なサービス内容を簡潔に表したものです。
事業コンセプトを決める際は、以下の3つの共通部分を突き詰めていくと具体的に決めやすくなります。
- 事業を通して自分がやりたいこと
- “商品”として自分ができること
- ターゲットとなる顧客が求めていること
定めた事業コンセプトをもとに、1年後など短期的な事業ビジョンと、5~10年後といった長期的な事業ビジョンを設定していきます。
事業ドメインとは、業界の中のどの領域に事業を展開していくかということを表しています。
事業計画書において、この事業コンセプトの出来が一番大事といっても過言ではありません。
たった一文のコンセプトですが、その一文だけで具体的な内容やターゲット、差別化されているかなどが判断できるので、特に検討を重ねるように心がけましょう。
その3|市場規模の予測
続いて、事業コンセプトの需要が存在することを示すために市場規模の予測を行います。
ネットや書籍などのデータをもとに予測を行いましょう。
政府機関など、データの出典元の信頼性が高いほど予測としての信憑性も高くなるといえます。
地域性の高い事業の場合、自分の足で集めたデータも非常に有効になります。
データを表記する場合、表ではなくグラフとして表記すると分かりやすくなります。
その4|販売ターゲットのペルソナ
市場の中からさらに具体的にターゲットを選定していきます。
ペルソナとは、対象の中で最も重要度の高い顧客を1人の人物モデルとして明記したものです。
性別や年齢だけではなく、考え方や休日の過ごし方などパーソナルな部分までしっかりと深堀りしていきます。
ここで設定したペルソナに向けてのアプローチが基本となります。
その5|商品・サービス
販売する商品・サービスについても記載します。
価格や特徴、納期など実際の商品・サービスの内容の詳細を解説していきます。
利益を上げるための根幹となるものなので、差別化できるポイントやお客のメリットなども分かりやすく記載するようにしましょう。
商品・サービスが複数ある場合には、事業の主力となる商品について記載するようにしましょう。
その6|モニター調査
販売する商品・サービスのモニター調査も行うと説得力がさらに上がります。
実際に事業を行うための自信にも繋がりますので、多少のコストがかかっても行うことがおすすめです。
しかし、そのためにはサンプルやアンケートなどを利用して事前にデータを集めることが必要になります。
事業内容によってはあまり人数を集めることが困難な場合もあるので、モニター調査の対象は上記で設定したペルソナに当てはまるように心がけましょう。
その7|ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、事業におけるお金の流れを具体的に表したものです。
どういう仕組みで商品が作られ、どういう経緯でお客の手に商品が届くのか、相関図などを利用して流れ全体を把握できるようにすることがポイントになります。
イラストなどを取り入れることで見やすさがより増します。
その8|競合分析
事業の戦略を考えるうえで、競合となる他社の分析は非常に重要になります。
他社の価格や特徴などとの比較、業界内における自社の立ち位置などを記載していきます。
比較する競合は最低でも3社以上あることが望ましいです。
また、競合となる対象は上記の事業ドメイン次第では他業種の場合も考えられます。
その9|SWOT分析
SWOT分析とは、事業戦略などで用いられる経営分析手法の1つで、以下の4つの要素が用いられます。
- S:強み(Strengths)
- W:弱み(Weaknesses)
- O:機会(Opportunities)
- T:脅威(Threats)
SとWは内部環境についてのプラスとマイナスの要素であるのに対し、OとTは経済やメディアなど外部環境によるプラスとマイナスを表す要素になります。
事業における各要素について、思いつく限り具体的に書き出していきます。
さらに、SWOT分析をもとに二次分析であるクロスSWOT分析を行っていきます。
クロスSWOT分析とは、SWOT分析で書き出した各要素をもとに以下の4つの状況の戦略を立てることをいいます。
- 機会×強み:機会に対し積極的に強みを生かす戦略
- 機会×弱み:弱みを克服し機会を生かす戦略
- 脅威×強み:強みを生かして脅威を攻略する戦略
- 脅威×弱み:経営に直結するリスクを最小限に抑えるための戦略
このクロスSWOT分析についても、状況を想定して具体的に記載していきます。
SWOT分析は、事業計画書の中でも自分自身や従業員と共有することが重要な項目となります。
その10|営業戦略
お客が商品を認知してからどのように購買まで持っていくかの流れについて記載していきます。
消費者の購買行動を想定して戦略を立てていくことが必要になります。
具体的には、以下の2つの法則などを用いて表現するのがおすすめです。
AIDMAの法則
消費者の購買行動を「Attention(認知)」→「Interest(興味)」→「Desire(欲求)」→「Memory(記憶)」→「Action(行動)」の順に表したフレームワーク
AISASの法則
インターネット時代における消費者の購買行動を「Attention(認知)」→「Interest(興味)」→「Search(検索)」→「Action(行動)」→「Share(共有)」の順に表したフレームワーク
事業内容やどんな営業ツールを用いるかで多少変わりますが、今回はAISASの法則をもとに営業戦略を考えていきます。
これも図を用いつつ解説すると分かりやすくなります。
その11|売上計画
ここから具体的なお金の話に入っていきます。
まず、年間の売上目標達成に向けた計画を試算していきます。
具体的な売上金額は以下の2つを掛け合わせて試算します。
- 客1人当たりの単価
- 顧客数
単価は「商品・サービス」の価格から、顧客数は「営業戦略」を根拠に予測を立てます。
実際に事業を始めたらこの売上計画を目標にしつつ、結果に応じて対応策や計画の修正を行うようにしましょう。
その12|利益計画
上記で求めた毎月の売上計画から、経費の予測金額を差し引くことで利益を計算していきます。
事業計画書の利益計画では、本業活動における成果である「営業利益」を記載するようにしましょう。
融資などの資金調達を目的としている場合、年間の利益がしっかりと黒字になるように計画を立てましょう。
その13|資金計画
資金計画は、融資などで資金調達をする場合に必須の項目となります。
- 融資の希望金額
- 自己資金
- 資金の使用内訳
これらの収支を表にしてまとめていきます。
また、利息も考慮した返済計画も別紙でまとめておくと説得力がさらに増します。
分かりやすく作るための4つのポイント
事業計画書はなにより分かりやすいことが重要になります。
続いて、分かりやすく作るためのポイントについて解説していきます。
作るのはパワポがおすすめ
まず、事業計画書はPowerPoint(パワポ)で作るのがおすすめです。
Wordなどで作るのに比べて、図やグラフを使用するなど項目ごとに見やすく整理することができます。
また、プレゼンのし易さというのもパワポを使う最大の利点となります。
事業計画書はただ書類として見せる以外にも、取引先などを相手にプレゼンとして使用する機会も多々あるので、そういった状況も考慮して作ることを心がけましょう。
できるだけ簡潔に表現する
事業計画書と聞くと、多くの方が小難しく回りくどい書類を想像するかと思います。
しかし、事業計画書の本質は全くの真逆であり、できるだけ簡潔に表現することが重要になります。
ただし、注意点として「簡潔=簡単」とはならないことは頭に入れておきましょう。
簡潔に相手に伝えるためには本質をきちんと表現することが必要になります。
専門用語はなるべく使わない
業界内では当たり前のことであっても、専門用語は使わず誰でも理解できる表現を心がけましょう。
簡潔に表現しようとすると、専門用語を使ったほうが一見手っ取り早いですが、見る人によっては調べる手間を強いることになってしまいます。
どうしても使わざるを得ない場合は、注釈(※)という形で解説も一緒に記載するようにしましょう。
全体の流れに一貫性を持たせる
最後のポイントとなるのが事業計画書全体の流れです。
項目ごとにしっかり丁寧に作ることができたとしても、まとめ方が適当では支離滅裂な事業計画書になってしまいます。
プレゼンをすることなどをイメージして、一貫性があり読み進めることで説得力が増す並び順を意識するように心がけましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
融資を受ける際に作るのが一般的ですが、独立や起業前の準備と合わせて事業計画書を一度作成してみましょう。
事業計画書として事業を客観的に見つめ直すことで、今まで気づかなかった武器や穴を見つけるきっかけにもなります。
また、日本政策金融公庫など事業計画書のフォーマットが用意されている場合は、フォーマットを基本に足りない部分を補う形で別途添付するようにしましょう。
終わり。