フリーランスや個人事業主にとって、1年で最も面倒な作業である確定申告ですが、大変な分、頑張って終わらせた達成感はとてつもないです。
全てから解放されたような、整理したレシートを全部ごみ箱にぶちまけたくなるような。。
しかし、安心してうっかり捨ててしまうと、後々とても厄介なことになる可能性があります。
確定申告の際に作成した帳簿や書類には、最長で7年間の保存義務があります。
今回のブログでは、帳簿書類の保存期間の詳細や、もし捨ててしまうと発生する罰則についてお話していきます。
目次
そもそも帳簿書類とは
一言で帳簿書類と表現されることが多いですが、厳密にいうと「帳簿」と「書類」に分けられます。
保存期間も、帳簿や書類の種類によって、多少異なるので注意しましょう。
という方もたくさんいらっしゃると思います。
それでは、それぞれ解説していきます。
帳簿とは
主要簿
そもそも帳簿とは、事業の日々の取引内容を記録するためのものです。
また、帳簿の中でも、貸借対照表や損益計算書の作成に必要不可欠なものを主要簿といいます。
青色申告で65万円を受けるためには、この主要簿を作成することが必要になります。
主要簿に含まれる帳簿は、仕訳帳と総勘定元帳の2つです。
仕訳帳 | 日々の取引を、取引があった日付順に記録する帳簿 |
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総勘定元帳 | 仕訳帳に記録された取引を、勘定科目ごとに記録し直した帳簿 |
日々の経理では仕訳帳をメインに使い、月ごとや確定申告の際に総勘定元帳に集計、そこから貸借対照表と損益計算書を作成していくという流れになります。
(まぁ、会計ソフトを使えば仕訳を入力するだけで、後は勝手に貸借対照表と損益計算書まで作ってくれるんですけどね(゜゜)。)
補助簿
主要簿の他に、事業それぞれの必要に応じて作成する帳簿を補助簿といいます。
補助簿は、基本的に1つの勘定科目だけを帳簿にしたもので、総勘定元帳が合体ロボだとしたら、補助簿は合体前の飛行機やら車やらです。
様々な種類の補助簿が存在するのですが、代表的なものは以下の通りです。
現金出納帳 | 「現金」の取引について記録した帳簿 |
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預金出納帳 | 銀行口座など「預金」の取引について記録した帳簿 |
売掛帳 | 「売掛金」について取引先ごとに記録した帳簿 |
買掛帳 | 「買掛金」について取引先ごとに記録した帳簿 |
経費帳 | 経費の勘定科目ごとに記録した帳簿。 |
固定資産台帳 | 車などの固定資産ごとに詳細を記録した帳簿 |
青色申告は、簡易的な帳簿で10万円の控除を受けることができますが、そのためにはこれらの補助簿が必要です。
書類とは
「書類って、全部書類じゃん!」
と思うかもしれませんが、税務上の帳簿書類の書類は以下のように分けられます。
- 決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表など)
- 現金預金取引等関係書類(領収書、小切手の控え、預金通帳、借用書など)
- その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)
貸借対照表と損益計算書は、帳簿ではなく書類という扱いになります。
フリーランス・個人事業主の帳簿書類保存期間
青色申告の帳簿書類保存期間
それでは、本題の帳簿書類の保存期間をみていきましょう。
まず、青色申告を行っている場合、保存期間は以下の表のようになります。
(※)前々年度の所得が300万円以下の場合は5年
というように、基本的に7年保存しなくてはいけません。
いや、7年て!!
中高卒業してもまだ足りません。いやー長い。
保存して何年目か分かるように、しっかりとファイルに整理するように心がけましょう。
白色申告の帳簿書類保存期間
いいかげん簡易的がウリの白色申告ですが、平成26年より白色申告者も帳簿書類の保存が義務化されています。
知らずに捨てちゃってる人が多いと思いますが、絶対捨てちゃだめです(゜゜)。気をつけましょう。
白色申告の場合の保存期間は、以下の表のようになります。
法定帳簿や任意帳簿と名前はそれっぽいですが、青色申告のように複式簿記が必要なわけではありません。
白色申告の場合でも、最長で7年の保存期間になります。
保存してないと罰則あるの?
捨ててしまって問題になるのは税務調査の時
散々、7年保存だ、捨てちゃヤバいだお話してきましたが、捨てたからといってすぐ問題になるわけではありません。
捨ててしまったのが初めて問題になるのは、税務調査が来た時です。
となった時に、様々な罰則が発生する可能性があります。
青色申告が取り消しに
税務調査の際に帳簿書類の提示要求に応じないと、青色申告が取り消され白色申告となってしまいます。
そもそも捨ててしまっては提示もくそもありません。
当たり前ですが、取り消しになってしまうと、青色申告の様々なメリットも受けることができなくなってしまいます。
推進課税による税金の追徴
税務調査で帳簿書類を捨ててしまっていると、過去に申告した税金が正しいかどうか証明することができなくなります。
そうすると、青色申告が取り消されたのに加え、税務署による「推進課税」によって過去の税金が計算し直されてしまいます。
推進課税とは、税務署側の推計によって課税が行われることで、白色申告者に対して行われる可能性があります。
要するに、税務署の言い値で税金を納めなければいけないということです。
そうなると、過去分まで遡って追徴されることになるので、恐らくかなりの金額を支払うことになります。
追徴分が完納されるまで、税金の支払いが終わることはありません。
最悪の場合、そのせいで廃業に追い込まれるケースもあります。恐怖。。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今年もそろそろ確定申告が始まります。
捨てないようにぜひ注意してください(゜゜)。
また、保存する場合は、いつでも過去のものが見返せるように、きちんと整理するように心がけましょう。
終わり。