こんにちは、カミノです。
2019年現在様々な発信媒体の進歩もあり、いわゆる”クリエイター”と呼ばれる職業の需要が高まっています。
様々な職業がAIに取って代わられると話題になっていますが、クリエイター系は代えの利かない職業の代表格ともいえます。
というように、今後ますますクリエイターの数は増えていくことも予想されます。
しかしその一方で、著作権などの知的財産権についてのトラブルも増えていくことは明白です。
今回のブログでは、知的財産権とはどういうものなのか、こうしたトラブルを回避する第一歩としてお話していきたいと思います。
知的財産権とは
知的財産権とは、文化的・産業上創作物と営業上の標識を利用する権利の総称で、知的活動に関する全ての権利を意味します。
現金や土地などの物質的な財産と違い、デザインやアイデアのように実態がなく財産的価値を持つものを知的財産といいます。
図のように、知的財産の所有や利用に関する権利を知的財産権といいます。
また、知的財産権は大きく以下の3つの権利に分類されます。
- 産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)
- 著作権
- その他の権利(回路配置利用権、育成者権、商号権、肖像権など)
中でも、①の産業財産権と②の著作権が知的財産権の中でも重要になります。
4つの産業財産権
産業財産権は工業所有権ともいわれ、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの総称のことをいいます。
その名の通り、製品の開発や販売といった”産業”に関する権利であり、基本的には特許庁に出願し認定されて始めて権利が発生します。
特許権
特許権とは、高度な技術的アイデアである「発明」を保護するための権利です。
特許権という独占権によって発明者を保護し、公開された発明を第三者に利用する機会を与えることで、技術の進歩や産業の発展を促すことが特許の目的となります。
ここでいう発明とは以下の3つに分類されます。
- 物の発明(機械、器具、医薬、コンピュータープログラムなど)
- 物を生産する方法の発明(食品の加工方法など)
- 方法の発明(測定方法、分析方法など)
また、当然ですが出願すればなんでもいいわけではなく、認められるためには以下の5つの特許要件を満たすことが必要になります。
- 産業上の利用可能性があること
- 新規性があること
- 進歩性があること
- 先願の発明であること
- 反社会的な発明でないこと
出願によって特許権が認められた場合、出願日から20年(医薬品等については最長25年)が保護期間となります。
実用新案権
実用新案権とは、物品の形状や構造などの「考案」を保護するための権利です。
考案は高度である必要はなく、特許には該当しないような小発明も対象となります。
ただし、保護対象となる考案は物品の形状、構造、組み合わせに限られるので、方法や化学構造、プログラムなどは保護の対象にはなりません。
また、特許権と同じく以下の5つの登録要件があります。
- 産業上の利用可能性があること
- 新規性があること
- 進歩性があること
- 先願の考案であること
- 反社会的な考案でないこと
出願によって実用新案権が認められた場合、出願日から10年が保護期間となります。
意匠権
意匠権とは、物品そのものや一部分の意匠(デザイン)を保護するための権利です。
ここでいう意匠とは、物品(有体物である動産)の形状、模様、色彩またはこれらの結合によって、視覚を通じて美感を起こさせるものと定義されています。
つまり、以下の3つが意匠の判断ポイントとなります。
- 物品(有体物である動産)に係るものであること
- 形態を有するものであること
- 目で見て美しいものであること
また、意匠権の登録要件は上記の2つとは多少異なり以下のようになります。
- 工業上の利用可能性があること(農業、商業などは含まれない)
- 新規性があること
- 創作性があること
- 先願であること
- 不登録事由に該当しないこと
出願によって意匠権が認められた場合、登録日から20年が保存期間となります。
商標権
商標権とは、会社や商品のロゴなどの商標を保護するための権利です。
商標とは、商品や役務の提供者を認知するための文字、図形、記号などのことで以下のように分類されます。
- 文字商標
- 図形商標
- 記号商標
- 立体商標
- 結合商標(文字、図形、記号、立体的形状の2つ以上を組み合わせた商標)
- 動き商標(文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標)
- ホログラム商標(文字や図形等がホログラフィー等の方法により変化する商標)
- 色彩のみからなる商標
- 音商標(聴覚で認識できる商標)
- 位置商標(図形等を商品等に付す位置が特定される商標)
出願によって商標権が認められた場合、登録日から10年(更新可能)が保護期間となります。
著作権
著作権とは、日本国民が創作した著作物、最初に日本国内で発行された著作物、条約により日本が保護の義務を負う著作物を保護するための権利のことをいいます。
上記の4つは産業的な創作に関する知的財産権でしたが、著作権は文化的な創作に関する知的財産権となります。
著作物の定義と具体例
著作権の保護対象となる著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものと定義されています。
具体例として以下のようなものがあります。
- 言語の著作物:講演、論文、小説、脚本、俳句など
- 音楽の著作物:楽曲、楽曲を伴う歌詞など
- 舞踊、無言劇の著作物:バレエやダンス、パントマイムの振り付けなど
- 美術の著作物:絵画、彫刻、漫画、舞台装置など
- 建築の著作物:芸術的な建築物など
- 地図、図形の著作物:地図、図面、設計図、立体模型など
- 映画の著作物:映画やアニメ、ゲームソフトなどの「録画されている動く映像」
- 写真の著作物:写真、グラビアなど
- プログラムの著作物:コンピュータプログラム、アプリケーションソフトなど
また、著作権はさらに著作者に認められる「著作者の権利」と、実演家(俳優、歌手など)や放送事業者などに認められる「著作隣接権」に分類されます。
著作権が発生するには
上記の産業財産権の場合、権利を発生するためには出願や登録を行う必要がありました。
しかし、日本における著作権には無方式主義が採用されており、特別な手続きをすることなく著作物の創作と同時に権利が発生します。
ただし著作権法では、第三者への対抗要件として著作権に関する登録制度が設けられています。
詳細は文化庁ホームページ「著作権登録制度」を参照ください。
また、原則として、著作権の効力発生から著作者の死後70年が保存期間となります。
著作権が制限されるケース
著作権によって創作物を「無断で〇〇されない権利」を有することになりますが、例外的にその著作権が制限されるケースが存在します。
具体的には以下のようなケースで制限され、著作権の侵害に該当しなくなります。
- 私的使用のための複製
- 教育機関での複製、検定教科書への掲載など
- 公立図書館における複製
- 点字に訳すための複製など
- 時事の事件の報道のための利用
- 学校の学芸会での上映、喫茶店におけるテレビ上映など
- 出所の明示がある引用・転載
などの場合、著作者に無許可だったとしても著作権の侵害には該当しなくなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
独立や起業をする場合、今回お話した5つの知的財産権は必ず把握しておくことがおすすめです。
特に、著作権については、著作物を知らぬ間に侵害してしまっていることも考えられますので十分に注意しましょう。
終わり。