「より多く利益を上げること」というのは、個人事業者や会社経営者にとって切っても切れないものです。
現在の状況に限らず、事業を営む上では常に利益を増やすために試行錯誤することになります。
利益を増やすためのことで最も一般的なのが集客です。当然ですが、お客さんがたくさん来れば必然的に利益も増えていきます。
しかし、利益を増やすために考えるべきことは集客だけではありません。
事業の状況や資金繰りに合わせて、様々なことを考慮する必要があります。
ということで今回のブログでは、事業の利益を増やすための3つの基本と詳細についてお話していきます。
目次
事業の利益を増やすための3つの基本

集客に力を入れることで利益を増やすというのは、もっと大枠で見ると「売上を増やして利益を増やす」ということです。
というように、利益を増やすための基本は以下の3つのようになります。
- 売上を増やす
- 変動費率を下げる
- 固定費を減らす
売上に付随して発生する費用を変動費(原材料など)、売上に関わらず必ず発生する費用を固定費(家賃など)といいます。
事業内容やビジネスモデルによって変動費と固定費は異なるので、自分の事業にかかる費用について項目分けしてみましょう。
また、この3つと利益の関係を図に整理すると以下のようになります。

図のように、利益を増やすためには「売上」、「変動費率」、「固定費」の3つについて、事業の状況に合わせた適切な措置を行うことが必要になります。
それでは、基本となるこの3つのさらに具体策についてお話していきます。
「売上を増やす」ためには?

まず、「売上を増やす」ための対応策について解説していきます。
商品価格を上げる
まず、最も簡単な売上を増やすための対応策が商品価格を上げることです。
今まで1個100円で販売していたものを1個110円に値上げするだけで、単純計算で10%も売上を増やすことができます。
というように、今までと同じ商品をただ値上げするだけでは、逆に売上を減らす結果にもなりかねません。
商品価格を上げるためにはそれに伴った付加価値の提供を意識することが必要になります。
お客の数を増やす
2つ目はお客の数を増やすということです。
上記から何度も集客として出てくるように、ほとんどの事業者が実践する対応策となります。
集客と聞くと呼び込みや広告などによる新規顧客の獲得というのを連想しますが、実はそれだけがお客の数を増やす方法ではありません。
お客の数を増やすためには以下の2つについて意識する必要があります。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客のリピート
この2つのどちらに力を入れるかによって、集客のための対策は大きく変わってきます。
新規顧客と既存顧客の割合や、リピート率などを算定することでどちらに焦点を当てるか決定するようにしましょう。
お客の回転率を上げる
3つ目が、お客の回転率を上げるということです。
主に飲食店などで有効な対応策となります。
回転率
= 1日の客数 / 席数
という式によって1日当たりの回転率を計算することができます。
回転率が上がれば上がるほど集客の限界数が増えるので、結果的に売上の増加に繋がります。
従業員1人1人のスキルを上げたり、店の内観や席の配置を変えることで回転率の上昇を見込むことができます。
また、カフェのようにお客の滞在時間が長い飲食店の場合、回転率ではなく1人当たりの客単価を高めるなどの工夫が必要です。
「変動費率を下げる」ためには?

変動費率とは、売上に対する変動費の割合のことを差します。
変動費は売上に応じて増減するので、利益予測を立てるためには変動費ではなく変動費率として計算に用いる必要があります。
仕入原価の見直し
上記でもお話しましたが、料理を作るための素材や商品を作るための部品、外注加工費などが主に変動費になります。
特に変動費の割合が多い飲食店や製造業などの業種では、仕入原価の見直しが第一の対応策となります。
例えば、1個100円の商品を作るための変動費が30円から20円になると、変動費率は30%から20%に10%も下げることができます。
というように、仕入原価単体に着目すると小さな違いでも、売上が増えれば増えるほど結果的に大きな経費の削減に繋がります。
- 1回の注文数を増やす
- 現金払いにする
- 仕入先をできるだけ絞る
などの具体策によって仕入原価を下げることができる場合が多いです。
変動費の割合が多い事業の方は、1つ1つを整理して金額の見直しができないかチェックしてみましょう。
在庫の管理を徹底
仕入原価の見直しと並行して行いたいのが在庫管理の徹底です。
商品在庫についてはもちろん、仕入れた各原材料がいくつ残っているのか、食材などの場合賞味期限はいつまでかなどの管理を徹底しましょう。
せっかく仕入原価を安くできたとしても、未使用のまま破棄してしまったり、余分に仕入れて売れ残ってしまったりすれば、結果として大きな無駄となってしまいます。
利益を上げるためにまずは、適切な在庫管理で無駄をなくすということを忘れないようにしましょう。
「固定費を減らす」ためには?

最後が固定費についてです。
固定費は売上に関わらず発生する費用であり、売上が固定費を下回ってしまうと事業は赤字になってしまいます。
まずは給与以外の固定費削減
一般的に、固定費は役員や従業員への給与とそれ以外のものに分けられます。
まずは給与以外の固定費で削減できるものはないかチェックしていきましょう。
変動費と違い簡単には削減できないことが多いですが、1つ1つの金額が大きいので削減できればかなり利益UPに繋がります。
また、固定費が下がることで事業における損益分岐点売上高も下げることができます。
S₀ = FC /(1-α)
S₀:損益分岐点売上高
FC:固定費
α:変動費率
損益分岐点売上高の値が下がれば、商品価格の割引などの戦略的な幅を広げることができます。
給与体制の見直し
先程、給与と他の固定費を分けて考えるといいましたが、給与の削減には細心の注意が必要です。
というのも、給与は従業員のモチベーションに深く関わるものであり、安易に金額を下げてしまうと逆に業績が悪化してしまうという可能性も大いにあるからです。
人員過多が明らかな場合以外は、出来高制の導入など従業員のモチベーションも考慮して給与削減に取り組むようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
売上の増加はほとんどの事業主が意識していると思いますが、経費の削減や管理の徹底などは意外にも適当に済ましている方が多いです。
利益を着実に上げていくためには、まずは事業の現状を正確に把握し適切な対策を行っていくことが何よりの近道になります。
終わり。