独立をお考えの方の中には、フリーランスとして開業すべきか、最初から会社にすべきか、2つで悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
まずはフリーランスとして開業して、後々会社にするというのが一般的です。
しかし、独立後いきなり会社を設立するのも、フリーランスにないメリットがあります。
今回のブログでは、フリーランスと比べて、会社設立にはどのようなメリット・デメリットがあるのかということについてお話していきます。
フリーランスと会社の税金の違い
フリーランスは所得税
フリーランスとして開業した場合、事業にかかる主な税金は所得税になります。
フリーランスの場合、基本的には事業所得であり、自分自身の収入から経費を差し引いた、所得に対して課税されます。
基本的に、事業の儲けに対して税金がかかるようなイメージです。
また、所得税は累進課税制度といって、所得金額が増えるほどそれに伴い税率も上がっていきます。
ですので、事業の儲けが出れば出るほど、それに伴い支払う税金の増えていきます。
会社は法人税と所得税
会社を設立すると、事業主である自分は社長となり、会社から給与をもらう形となります。
ですので、会社の利益に対する法人税と、社長の給与に対する所得税の2つが主にかかる税金となります。
累進課税の所得税とは異なり、法人税は基本的に一定です。
また、会社と社長で所得の分散をすることができるので、事業の儲けが多いほど、全体の税金額はフリーランスに比べて安くなります。
会社設立の節税面での5つのメリット
会社の社長は給与所得控除
上記でお話ししたように、会社を設立して社長になると、役員報酬として会社から給与を貰います。
役員報酬は給与所得という区分になるので、給与所得控除を受けることができます。
給与所得控除は、最低65万円から最大220万円まで所得金額から控除することができるので、フリーランスの65万円の青色申告特別控除よりも節税効果は高いといえます。
給与所得控除の金額は以下の表の通りです。
表のように、最低でも青色申告特別控除の65万円の控除を受けることができます。
赤字(純損失)の繰り越しが9年に
フリーランスは青色申告を行うことで、赤字を3年間繰り越すことができますが、会社を設立した場合9年間に渡って繰り越すことができます。
9年です。フリーランスのなんと3倍もの期間です。
創業初期に多大な費用が掛かるようなら、この繰り越しを見据えて会社を設立するのも手かもしれません。
生命保険料の一部を会社の経費に
フリーランスにしろ会社を設立するにしろ、独立したら万が一に備え、生命保険への加入を検討しましょう。
仮に仕事ができない状態になった場合、業種によっては収入が0になることも十分に考えられます。自分や家族のためにとても大切になります。
そんな大切な生命保険ですが、フリーランスの場合、所得控除の1つである生命保険料控除を受けるだけが限界でした。
しかし会社の場合だと、契約者を会社、被保険者を社長という風にすることで、保険料の一定割合を経費として計上することができます。
万が一の備えもできて、さらに節税もできるという一石二鳥なやつです。
経費にできる割合は保険の種類によって異なるので確認するようにしましょう。
役員社宅で家賃の多くを経費に
フリーランスでも、自宅で仕事をしている場合は、事業使用分として家賃の一部を経費にできます。(青色申告)
会社になると、社宅という制度を使って、より多くの家賃を経費にすることができます。
そのためには、会社名義で社宅を貸借し、それを社長に貸し付けるという形を取ります。
ですので、多少のめんどくささはあります。
退職金を支給することができる
仮に、社長1人の会社であろうと、会社は退職する役員に対して退職金を支払うことができます。
退職金は経費になるので、退職金の金額によっては会社の利益を0にすることができます。
また、退職金は退職所得という所得区分になります。
結果的には社長の所得となるのですが、本来の給与所得に比べて、税金はかなり少なくなります。
フリーランスは退職金がないので、自分で小規模企業共済に入る等しなければいけません。
会社設立の信用・保険面での3つのメリット
社会的な信用度の高さ
一般的に、フリーランスに比べて会社のほうが社会的信用は高まります。
以前に比べると、ネットビジネスを中心にその影響力は弱まってきましたが、それでもBtoBビジネスを中心に会社であることの信用度は依然として高いままです。
「代表取締役社長」という肩書が名刺にあるだけで、周りからの一目置かれるようになるので、それだけでも会社を設立するメリットがあるかもしれません。
人材採用でも有利
会社の場合、社長1人の会社であっても社会保険への加入が必要になります。
仮に、自分以外に従業員を雇おうと思った場合、会社の社会保険等による福利厚生面は、従業員にとって重要な選択の要因になります。
正社員という肩書も、働く従業員にとっては魅力になります。
社会保険に加入することができる
上記でも出ましたが、会社を設立すれば社会保険への加入が必要です。
国民健康保険→健康保険、国民年金→厚生年金となるので、フリーランスに比べ、保障面や将来貰える年金の額などが高まります。
会社設立の費用面での4つのデメリット
赤字の年も税金を支払わなければいけない
フリーランスは、赤字の年に税金がかせられることはありません。
しかし、会社の場合、仮に赤字で利益がなくても支払わなければいけない税金があります。
それが、法人住民時の均等割です。
赤字になった年でも、最低7万円程税金の支払いが発生します。
そもそも設立するのにもお金がかかる
フリーランスがお金をかけずに開業できるのに対し、株式会社を設立する場合、最低でも20万円程の費用が掛かります。(合同会社は最低6万円程。)
さらに、会社には資本金も必要になります。
資本金は1円からでも会社を設立できますが、上記のメリットである社会的信用を得るためにも、最低100万円は用意しておきたいところです。
社会保険料がかかる
メリットでも登場した社会保険ですが、支払う保険料は高くなるので、費用面からみるとデメリットになります。
また、会社は従業員の社会保険の半額を負担することになるので、人を雇えば雇うほど社会保険料の負担は大きくなります。
基本的に税理士が必須に
会社の税務は、フリーランスの確定申告に比べてかなり複雑で難易度が上がります。
本業に加えて、社長自身で行うにはかなり骨の折れる作業になります。
そこで必要になるのが税理士ですが、税理士に依頼する場合、月額の顧問料や決算料がかかります。
会社の規模にもよりますが、最低でも年間20万円以上は必要になると思っておきましょう。
会社設立のその他の面での3つのデメリット
色々と手続きが面倒
会社の設立には費用がかかるのにも加え、様々な手続きが必要になります。
定款の作成、法局への設立登記、各関係機関に書類の提出など、実際に会社の設立が完了するまでそれなりに時間も手間もかかります。
面倒です。はい(゜゜)。
自由に使えるお金が減る
上記でもお話しした通り、会社と社長とで所得の分散を行うと、全体にかかる税金を減らすことができます。
しかし、会社の利益になった分は会社のお金になるので、社長がプライベートで自由に使うことができなくなります。
税務調査の可能性が上がる
会社にすると、フリーランスに比べて税務調査の可能性が高まります。
まぁ、フリーランスに税務調査が入ることはあるので、一概には言えませんが同じ条件で比べると、会社のほうが入られやすくなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
会社設立には様々なメリット・デメリットがあります。
しかし、まぁ、最初はフリーランスや個人事業主から始めたほうがいいと思います。
売上が1,000万円を超えてさらに上を目指すようであれば、会社設立を検討してみるのがおすすめです。
終わり。